万年筆のおはなし
万年筆の話
基本的にお金を使わない僕ですが、凝っているものが幾つかあります。それは腕時計と万年筆とカメラです。
はい、形から入るタイプなのです。
で、今回は万年筆のお話。
文章が苦手だった学生時代
最初に言っておくと僕は大人になるまで文章を書くのが大の苦手でした。嫌いだっと言っても過言ではないです。
もちろん今もそれほど得意というわけではありません。ただ、苦手のレベルが違いました。
今でも覚えている苦い記憶として、10数年以上の高校時代の出来事があります。
当時通っていた高校は芸術鑑賞として、学校で年に一度町にあるホールを貸しきって、そこでコンサートやら劇を見学する日がありました。
確かその日は歌舞伎を鑑賞したんだと思います。とても印象に残って面白かったことも覚えています。ただ、帰る前にホームルームで感想を書くためにアンケートが配られるのですが、どんなに頭をひねっても「とても面白かったです」以外の言葉が書けなかったのです。
アンケートはA4縦幅の5行ほどの欄。きっと今ならなんの苦もなく書くことができるのでしょうが、当時は一行すら満足に埋めることができませんでした。担任にはもちろん怒られました。なぜ書けないのか、と。
僕が知りたいくらいでした。何故面白かったのか、どう面白かったのか頭から上手く言語化ができなかったのです。
無意識下での逃避
それからずーっと文章を書く事を無意識に拒否していたと思います。幸運なことに通っていた大学・学部は卒論が必須ではありませんでしたので問題はありませんでした。大学の文章問題の時はバカみたいに一つのテンプレートをずっと使っていました。でも社会に出るとそれじゃ通用していかなくなっていきました。
社会に出てあまりにも自分の文章作成スキルが低いことに改めて気づかされました。具体的言うと、入社してすぐは200文字程度の文章を書くのに3時間かかったこともありました。もちろん幾つか文章上の制約や注意点はありましたが、慣れれば15分もかからない作業です。
他の人が半日もかからずに行う作業を、残業してまでする屈辱。といっても自分が蒔いた種ですので何とも言えませんが。そんな時に初めて自分で万年筆を買いました。
実は大学を卒業時に両親からパイロットのカートリッジ式万年筆を贈られていたのですが、正直そこまで使っていませんでした。当時は整備の仕方も知らずにすぐにダメにしてしまったのです。今でも手元に残っていますが根元がポキッと折れてそのパーツは無くなったままです。
購入したのは前回と同じパイロット製の万年筆。以前使っていたメーカーだからというクソみたいな理由で選びました。これもカートリッジ式です。一緒にダークブラックのカートリッジを買ったことを覚えています。
とりあえず今まで使っていた100均のペンを捨て、手帳を万年筆で書くことから始めました。本当に最初は面倒くさかったことだけ覚えています。インクは滲む、字はかすむ。大切な時にインク切れをするという散々な思い出だけが残っています。
それでも1万円近く使ったのだからと、毎日使うと流石に愛着も出てきます。そうすると不思議に文章を書く楽しさが僕にもわかってきました。とりあえず半年も経つと人並みに仕事もできるようになり、プライベートで文章を書く時間も増えました。
多分、あの時自分で万年筆を買わなければ、今こうしてブログも書いていないですし、買わなかった僕は、きっと仕事を辞めて実家で農家を継いでいるでしょう。そう考えると僕の人生を変えたかけがえのアイテムなのだとしみじみと思います。
現状
とりあえず今の万年筆は4代目。セーラーのプロフィット21銀 の細字を使ってます。持ち手が少し太めで持ちやすいし、筆圧を掛けないでスムーズにかけます。もう4年ほど使ってます。あとセーラーにしたのはインク「極黒」が使いたかったからですね。
「極黒」はオフィシャルにあるとおり耐水性に優れていて、もしも水が当たっても滲みにくいです。また、裏写りもしないのでとてもおすすめ。
超微粒子顔料インク(ナノインク)「極黒(きわぐろ)」、「青墨(せいぼく)」は耐水性に優れ、乾燥による目詰まりがなく、筆跡がシャープで奇麗。また、耐光性にも優れ、にじまず裏写りもありません。ボトルには、少量となったインクを最後まで使い切れるリザーバーをご用意いたしました。書き味、品質共に最高レベルを極めたハイグレードインクをお楽しみ下さい。
今では僕の中で万年筆は何かの節目の記念に買うものになっていて、次は仕事を辞めたら5代目の購入を検討中。ちなみに4代目はB社を辞めた記念で買いました。
次はこれまでずっと細字を使ってきたので次は中字くらいのペン先が柔らかいものも試してみたいなと思ってます。あー、最初の頃はあんなに面相臭かったメンテナンスが、お休みの日の楽しみになるのはあの時からは考えられません。なかなかおすすめです。
過去の万年筆紹介
初代
二代目
三代目
四代目